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オーガニゼーション・ツリー・スコア活用組織インタビュー

①株式会社mediba 編

株式会社mediba様では、モノづくりカンパニーに向けた組織変革の取り組みの一環として、オーガニゼーション・ツリー・スコア(以下OTS)をKPIとして採用いただきました。

その経緯や共感していただいたポイントについて、CXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)の岡様、コミュニケーションデザイン本部 副本部長の福田様にインタビューさせていただきました。

インタビュー参加者の写真

上段左から、mediba福田様、岡様、下段左からUED高橋、竹中

UED

私たちの部署「デザイニング・アウトカムズ研究所」とは、OTSのご紹介からお付き合いですが、かねてからmedibaさんとU'eyes Designとのお付き合いはあって。

最初は、自分がまだKDDIの時に、御社が開催されている短期のUXのセミナーに、たくさんのメンバーを参加させてもらったんですよね。中級以上のレベルでUXデザインを人に教えたりできる人材ってなかなかいないな、社内で育成をすることが難しいな、という課題があって。 今、CXOとして私はやっているんですが、私とメンバーの間のポジションに入って、育成していく、その辺をお願いできる会社を探していて、U'eyes Designさんに声をかけさせていただきました。

UED

人材育成ですよね。これはどこまで行ってもゴールがない課題ですよね。弊社のメイン事業であるデザインコンサルティング事業部のメンバーがmedibaさんに出向というかたちでお世話になり、皆さんの育成に関わらせていただきました。 我々はデザインコンサルティング事業部とは別の組織で、U’eyes Designの中でも組織作りやコミュニティデザインに特化した「デザイニング・アウトカムズ研究所」という部門ですが、昨年3月にOTS(オーガニゼーション・ツリー・スコア)を紹介させていただく機会をいただきました。 その時に、岡さんが考えていらっしゃる組織に対するビジョンもご提示いただいて、「すごく共通点あるな、同じようなことを考えてるな」と感じたのですが、「岡さんがOTSを使っていこう!」と判断いただいた背景について、少し詳しく教えていただけますか。

作る人をつくる 「モノづくりカンパニー」としてのmedibaへ

medibaは来年(2020年12月)で20年となる会社で、もともとはいわゆるガラケーの、EZwebポータル(EZボタンを押すと立ち上がるポータルサイト)の中の広告を販売していたり、その延長からポータルサイトの運用を初めて順調に成長してきた会社です。

2008年からご存知の通り、iPhone3GS、スマホ、が入ってきました。モバイルからインターネットにアクセスするときに、キャリアのサービスを通らずとも行けてしまう世界がやってきたときに、EZweb上での広告販売にも大打撃を受けmedibaも苦戦を強いられる時代もありました。

その次は、auスマートパスという、スマホ上でのアプリの取り放題サービスという“パスポート”と呼ばれるような、キャリアならではのサービスを立ち上げて、それをmedibaがやるようになっていった、という経緯があります。

そんな状況で、KDDIというすごく大きなグループ会社の中で、コングロマリット(複合企業)として色々な事業や、子会社を含めた関連会社がある中で、顧客体験を横断的に見ていく組織とはどこか?と考えたときに、そのポジションを取っている組織が思い当たりませんでした。

medibaにはエンジニアがいて、デザイナーもいて、編集もいて。他の関連子会社には各事業のドメインがあるし、KDDI自体も部署の中でのドメインがあったりして、ということを考えると、ある意味で特定の事業ドメインを持たないことが強みだな、と改めて感じました。

顧客体験とは点ではなく線で繋いでいくものと考えた時に、medibaのような会社が、顧客体験の、auのカスタマージャーニーみたいなものを作っていくべきなのではないかと。

とはいえ日本の企業って、打席に立ってバットを振らずして“PDCAを回せ!”とか“打率を上げろ!”と言っているようなところがあるな、という気がしていて。そもそもバッターボックスに立って打席に立ってバットを振らないと、顧客に対して良いサービスとか打率そのものが上がっていかないよね、とずっと思っていたんです。

mediba福田様、岡様

UED

打席というのは、“失敗する経験も含めて”ということですよね、“経験で学ぶ”ということが重要だということですね。

何かをしようとすると、まず稟議、というのが現状で。もちろんそれは、ガバナンス上大事なことではあるんだけど、最初からヒットするものを出さないといけない、という暗黙のプレッシャーの中でやっていくのは難しい、と思っていて。

そういった状況がある中で、2018年からmediba自体がモノづくりカンパニーになろうと方向転換をしたんです。具体的には、まずモノづくりをする以前に、“作る人をつくる”というのを掲げたんですよね。

組織において、あるスーパープレイヤーがヒットを生んだところで、結局そこに再現性はないし。再現できる「作る人」をつくるということで、ユーザーリサーチから課題発見をしてデプロイをして、そこで初めて学んだことをみんなで共有する、というサイクルを定量化してやってく、ということをやり始めた、というのが流れですね。

UED

3月に訪問させていただいた時は、ちょうどそれをやろうとしていた状況だったんでしょうか?

そうですね、やろうと言ってやり始めて、ある程度まわり始めた、というタイミングでした。

モノ・サービスを作っていく中で、机上の空論だけでなく、顧客を理解しそこから仮説を立ててデプロイして、という流れの中で、それこそ【リリース数】とか【デプロイ数】でいうと、10数倍くらいになっているサービスもあった、という状況でした。

UED

じゃあ、プロセスは徐々に定着してきている、という様子だったんでしょうか。

そうですね、そういう段階でした。それで4月に、この状況をより強めていくために、「ユーザ中心目標」というのを立ち上げてやっていくという意思決定をしました。

インタビュー風景

本当にモノづくりしやすい環境になっているのか?

ユーザ中心目標とは、リサーチ&プロトタイピングに関する目標で、2019年度の1年間でインタビュー数1000人、プロトタイピング数150個、というのを掲げています。

数が問題ではないのはわかっています。ですが現状として、リサーチをしようとすると「それって何の意味があったんだっけ?」と言われたり、どんな利益が得られるんだっけ?というPL(損益計算書)の話になってしまって、リサーチするためにPLを書かないといけない、という状況にどうしてもなりがちでした。

でも顧客を知ることって、すごく当たり前なことなのに、それに対して誰かが否定してくるというのをやめたい。いちいち予算取るために時間をかけて上司を説得したり、成果をエビデンスという形で、効果があったかという風に見せないといけない。それって本質的ではないと思います。

調査をした結果、この領域はないな、やらない方がいいということを知ったりしても、そういうことを言いにくくなっちゃう。

UED

こじつけでも、こんな成果があった、みたいなことを言わないといけない状況ですね。

いわゆるサンクコスト(埋没費用)じゃないですが失敗したと言えないとか、ここは機会があったと言わないといけない、というのではなく、ここはうまくいかない、ということを皆が言える状態にしたかった。

顧客を知るという行動自体に、社内政治のためのコストが発生するという状態をやめたかったんです。

UED

当たり前の事として組み込みたい、ということですね。

顧客を知るという行動自体は、誰にも文句を言われずに進められるくらいに、当たり前の事でしょ、と。

もちろん、手段が目的化してしまう懸念もありますが、それよりも数を重ねて慣れることや、周りのみんながやっているという状況を作ることで、初めての人でも取り組みやすい状態にしたかった、という思いがあります。

UED

数にこだわることが本質的なことではないにしても、その意味というところを感じ取る前に、“行動に慣れる”ことを優先して、まずは数値目標にした、ということでしょうか。

はい。最初に価値観を変えるというのが大事なことだとは思うんですが、そのためには、中間管理職への浸透もしていかないといけない。30人くらいの会社であれば、直接対話したりして価値観を変えられるかもしれませんが、200人規模の会社なので、行動を重ねていった結果、価値観が少しずつ変わっていく、というのが適切なアプローチかな、と思っていて、このようなやり方をしているんです。

UED

そういった(ユーザ中心目標の)取り組みをすすめていた状況で、OTSをどのように活用できそうだと認識いただいたのでしょうか?

ユーザ中心目標って、1000人のユーザインタビューと、150のプロトタイピングという二つの数字が目標になっているのですが、結局のところ、やっぱり実際には心理的障壁があったりもします。

なので、目標を掲げたものの、その結果社内でそれが当たり前になっているのか、モノづくりしやすい環境になっているのか?というのを、(プロセス指標としてではなく)成果指標として計っていく、ということがポイントになるなと考えていました。

で、それをどうやって計ろうか、と方策を探していたんです。そこに、たまたま、という感じで見つけました。

UED

ぴたっときましたか?

イノベーティブ・オーガニゼーション・ツリー

OTSの背景理論、「innovative Organization Tree」。イノベーション組織に必要な要素として、大義、多様性、心理的な安全、好奇心、失敗を恐れない、変革、の6つがある。その6要素から、組織のイノベーション度合いを測る指標OTSを考案した。

そうですね、まずユーザ中心目標を掲げる中で、社内でも「心理的安全」も叫ばれていていたんですよね。

UED

Googleでプロジェクトアリストテレスの発表があってから、IT業界では特に重視されるようになりましたよね。

“ぬるま湯”組織になってしまう指摘とか懸念など、解釈の幅もありますが、でも、「心理的安全」はやはり必要で、それをどうやって計れるんだろう?とか。

「多様性」も同様で、弊社の掲げるクレドの中でも明確にうたっていますし、「失敗を恐れない」に関しても、デプロイするとか、そういったステップで必要だな、とか認識していた要素が入っていました。

UED

デザイン思考を回す上で、OTSの上部の3つの要素(変革、好奇心、失敗を恐れない)は必須ですよね。

そういったことから、まずはこのOTSでやってみよう、と合致した、という感じです。

medibaのアイデンティティってなんだろう?

UED

実際に、5月に1度目のOTSを実施して、結果を見た印象はどうでしたか?

福田

5月の時点では、まだ取り組みを始めたばかりで、インタビューもまだそんなに走り出してないというタイミングだったので、正直1度目は、最初の定点調査の始まりであり、「こんなものかな」という印象でしたね。

弊社では従業員満足度も取っているのですが、二つの調査で合致する部分があったのですが…OTSの結果を見たとき、「そこか!」と。

福田

そうですね~。

UED

そことは?

mediba 岡様

“大義”です!大義に課題があるなあ、と。

UED

なるほど。従業員満足度調査でも、「大義」に関連する項目があるだろうと思われるのですが、OTSでは、ことさら「大義」を重視しているところがあります。

以前から、社員からもよく言われていたというのもありますね。

medibaという会社って、auという冠がつくサービスを開発・運営しているが、「mediba」と名前が付いたサービスがまだなくて、「mediba」というアイデンティティは外には出ないんですよね。

だから、「自分たちを代表するサービスが欲しい」というのはよく言われていて。でもなかなか・・・

そう言われている中で、自分たちのアイデンティティはどこにあるんだろう?という問いに対して、たくさんの会社を見てきた僕からすると、逆にこの環境やこの会社の状態は貴重というか、稀有だなと思うんです。

例えば、アメリカではECはイーベイとか、金融であれば金融の会社とか。一般的に1社に1ドメインというのが基本なんですよね。それを、こんな大きな会社の中で、安定した基盤がありつつ、コングロマリットなサービスに触れることが出来る環境というのは、本当にないんです。

日本の中で言うと、yahooとかキャリアとかLINEは、複数のコングロマリットな事業が1社の中でもできる。転職しなくても複数の事業経験を、事業会社の中でできる。そういう会社って、日本広しといえどあまり無いんですよ。

インターネットの事業会社で、金融、決済、エンタメ、オンラインなど、極端に言うとなんでもありって、中にいると認識しにくいのかもしれないけれど、こんな機会はなかなかないです。

私自身も前職はyahooで、7~8年いて、基本はメディアの事しかやっていなかった。決済もやってない、コマースもやってない、という風に考えた時に、この環境はすごい。いきなり決済の事できた!とか。決済の事やってみて、学べることがすごく多かった、と感じていたので、事業ドメインをまたいで違う環境にいってサービスを作っていくのが、こんなにも自分の知識や知恵につながるのか!というのは肌で感じていたんですよね。

そういう様々なことにチャレンジできる環境であるところを、組織としてシステムとして、まだ組み込めていなかったので、それはこれからやっていきたいと思っています。

UED 竹中、高橋

UED

チャレンジという点では、OTSの上部の3つの要素は、個人に重要だと思っています。

“好奇心”というのは、言い換えれば「主体性の発揮」というようなことだと思っていまして、今お聞きした岡さんのような経験って、主体性もって視座を高めていかないと、なかなか気がつけない、チャレンジしないって思うんですよね。

そういった自分の肯定力とか、効力感を持ち得ているか。もちろん裁量があるということも大事になってくると思いますし、その機会があるかっていうことも、それを伸ばしてあげて、失敗から学ぶプロセスも経験して、どんどん自分が学習していく。“変革”も、自分が学習するっていうことですけどね。そういうことが、この環境を活用して、うまく利用して、自己変革してくださいってことなんでしょうね。

職能の中だけで活動を続けていくと、深まってはいくけれど。イノベーションって、ダブルメジャーとかトリプルメジャーとかいわれる方から生まれる傾向があるという面では、やっぱり違ったドメインに行くってだけでも思考の質も変わるし。事業として、メディアから金融と経験していって、そこの顧客体験に向き合っていけば、明確に、成長の曲線っていうのは二次関数的になっていくんじゃないかなという感じがします。

そのあたりは、medibaの中でもまだまだ組み込めてない、成功モデルを作れてない部分です。

UED

体を鍛えるのと同じで、組織力も個人も、どこを鍛えているのか、今ここを鍛えているんだよ、という意識をもつことや、そのためのトレーニングとか評価、マネジメントは何だろう、と考えてやっていかないと、フォーカスがあいまいになってしまいますよね。

そうですね、“今どこ鍛えてる”、というのはあんまり言ってないかもしれないですね…

福田

そうですね。

UED

いわないと、矛盾や誤解がおきちゃうんですよね。

OKR(Objectives and Key Resultsの略称。目標設定や管理手法の一つ)を採用されて、どういう目標に向かっていて、今どの段階だ、と認識していて、だからこれをする必要があるんだよ、ということが見えてこれば、安心につながるというか。

OTSの中にも(満足点・不満点を回答する)フリーアンサーの質問があるのですが、そこでもいろいろな意見が出ます。それはおそらく、今何をやろうとしている、というのが伝わっていないために、現状に対して不信感があって、それが不満として出てきているのだと思います。それはどんな会社でも同じですね。

なるほど、そうですね。たとえばGROWモデル(目標達成について考えるためのフレームワーク。目標の設定〈Goal〉、現状の把握〈Reality〉と資源の発見〈Resource〉、選択肢の創出〈Options〉、意欲の確認〈Will〉で構成される。)を使うとか、そういうところは出来ていなかったりするので、今現在っていうところを認識するのは確かにすごく大事かもしれないですね。

UED

見通しと、課せられてる期待みたいなものがちゃんと分かって、しかも心理的安全性があるように感じられるようになれば、本来、人はポジティブになるんじゃないかなと思います。

人事制度の改革、ポイントは脱ヒエラルキー

UED

11月に、2回目のOTSとっていただきましたが、その前に、プレスリリースでも発表されていましたが、10月に人事制度の入れ替えをされたんですよね。

mediba 福田様

福田

中期計画の数字をどんな風に作っていくか、それに合わせて、それを達成するための組織をどう作っていくか、中期計画の、そもそもどんな事業をするか、それに合わせて組織をどうするか、などについて合宿して、そこで骨子が決まっていきました。

その後オフサイトミーティングをして、マトリクス型に近づけていくのがいいんじゃないかとなり、そのあと持ち帰って、そのまま討議をして決めていった、という感じです。

UED

プレスリリースには、職能を定義して、管理職については多様なモデルを採用された、とありました。大きく変えた方針について、詳しく教えてください。

まず、いわゆるヒエラルキーのピラミッド構造から変える、というのは明確に意識してやりました。

コングロマリットで、複数の事業をやっている中で、もし、すごいスーパーマンのようなメンバーがいれば、その人の意思決定によってすべてのサービスをグロース出来たり、すべての顧客体験をよくできたりとか、すべてをつないでカスタマージャーニーをつくったりできるのかもしれないが、決してそういう組織じゃない。

結局のところ、一人ひとりの現場メンバーが顧客を知って、それに対してどうやって行くともっとユーザに対して価値を提供できるのか、その対価として売り上げをどうやって高めていけるのか、とユーザーサイドに向かっているのは現場じゃないですか。だから、彼らが自発的に意思決定したり、自発的に顧客と向き合って改善して行ったりするためには、ヒエラルキーの構造では厳しいなあと思っていて。

それで、プロダクトとプロダクトマネージャーを導入して、組織構造を小さく切り分け、小さいプロダクトで意思決定をしながら、それを顧客に向き合って高めていくという組織を作っていこうと考えました。

プロダクトの中で、様々なスペシャリティを持ったメンバーが、職能定義をして、その職能のスペシャリティを発揮していく、そのベクトルというのは、圧倒的にユーザに向かっていきたい、というのは、一つの形かな。そのために職能定義をしている、というのがあります。

福田

また、今までの給与テーブルはざっくりしていて上がっていくにも数年かかる年功序列的な面もややありました。職能も特に分かれてなくて、新卒から入ると横ならびで上がっていく、という仕組みだったので、そこはだいぶ変えました。

マトリクスというのは、職能ごとに評価する、という意味です。

弊社のクレドの中に「バリュー」というのがあって、1つは職能におけるスキルを高めていって、その「バリュー」を発揮していれば、それは我々にとって素晴らしい人材であり、それを伸ばしてほしい、という方向性を明確に決めていきました。

社内でも、野球に例えて話していたのですが、巨人軍がお金をたくさんかけて良いメンバーを集めたが優勝できなかった、という場合に、それは監督の責任じゃないか、と。

つまり、売上利益とは、メンバー・働く社員の成果によらない、月例の給料とは関係ないっしょ、と。だって、スキル高めてバリュー発揮してるんだから、監督がちゃんと采配すれば、ちゃんと売り上げ・利益になるはずじゃん。そうならないのは経営の責任だ、と。

UED

采配力に責任を、ということですね。なかなかご自分に厳しいですね。

スキルとバリューを発揮してもらって、それが売上利益の最大化につながるでしょ、というのが我々の考え方です。それにあわせて、給与体系のシステムを人事システムとして変えて、売上利益、業績評価は賞与で、としていきました。

UED

管理職も多様化もおもしろいなと思いました。コーチやマネージャーに当たる部分を、4系統に分けられたんですよね。

福田

そうですね、今までは2つだけでしたが、4つに分けました。

F(フェロー):スぺシャリスト思考、職能を永久に伸ばしていく。

P(プロダクトマネージャー):プロダクトの責任者

V(バイスプレジデント オブ XXX):人材育成、コーチングディレクター

C(コーポレート):コーポレートマネージャー

F職は、管理職にはならず、縦にずっと伸びていく、それこそI型と言われるような人材の育ち方という位置づけです。

P職は、今までプロダクトの責任を持ってきたのは、多くのケースで管理職、部長だった。プロダクトの売り上げや人員配置も含めて部長というのが担っていた。企画職の部長がなるケースが習わしというか、多かったんですね。

しかし今、スタートアップのCEOとかって、デザイナーやエンジニア出身の人も多いですよね。

別にビジネス職がダメというのではないが、いろんな人がなれてもいいでしょう、というというのがあって。であれば、ビジネス職の部長がビジネスや事業の責任を持つのではなく、プロダクトマネージャーという、プロダクトの成長を通じて売上利益を最大化していく人たちを、改めて管理職として明確に任命しました。

V職は、その職能における育成であったり、その人たちのコーチであるとか、またその職能の上位の人たちなので、テクノロジーの技術戦略とか、クリエイティブ戦略などというような、横串でプロダクトに対して統一的なガバナンスや方針を作って決めていく。たとえばテクノロジーで言えば、みんなバラバラにやると生産性下がるので、API化ちゃんとやっていこう、とか、こんなデザインガイドラインで進めていこうね、とか、やっていくのがV職です。これが上がっていくとC×O(チーフ・なんとか・オフィサー)となります。

C職は、コーポレート(管理部門・経営部門)のマネージャーです。ここだけはマトリクスになってない。ヒエラルキーのある、今まで通りの組織という感じです。

mediba 福田様、岡様

UED

V職が生まれたということと、P職が整理されて、いろんなキャリアパスからなれるというところが強化された、というのが大きいですかね。

そうですね。これはまだまだこれから変えていくとは思います。今はまだ過渡期で、これから問題点が出てきたり、複数の職能をまたいだキャリアパスなんかも大事になってくる、というのもありますね。

部署についても、現在は本部とか部門というのがありますが、今後は状況によってはそれを無くしてプロダクト型にしていく、という判断があるかもしれません。

だれしも認めてもらいたい・役に立ちたい

UED

人事制度も刷新された後に実施した2回目OTSの結果はいかがでしたでしょうか?

1回目の結果よりも、直近の状況が影響しているな、というのがありますかね。

UED

どうしてもスナップショットでアンケートをとるので、直前の業績や、やり取りの影響は受けてしまうところはありますね。点数も今回上がりませんでしたが。

福田

大義の項目も横ばいでした。

僕は、キャラクター的に大義が必要だと感じたことがない気がします。

UED

そうですね、そういう方もいらっしゃいます。あまりに自分の中に(大義を考える事が)組み込まれているので意識しないのだと思います。

しかしチーム力や統治というのを考えた時には、個人の持つ大義を周囲の人と共有しているか、というのが大事になってきます。

自分で大義を持っているか、という点については、デザイナーやクリエイターだと当たり前でしょ、というのはあると思いますが、組織化していくとなると、人に影響を与える、ということが重要な活動だということなんですよね。

OTSをいろんな会社でとっていただいた中では、やはり、個人としての大義は高くても、それが組織化(共有)できてない、という会社が多いです。

あとは親会社があるとか、B2Bとか、なかなかアイデンティティを持ちづらいような環境もある。その場合も、あえてやらないと、大義を持ちづらいんです。

やはり、誰しも認めてもらいたい、という気持ちはあって。その中でも、誰に認められたいか、という点が重要です。社内での評価だけでは足りなくて、関係の中のことば、顧客、親会社、パートナー、いろんなステークホルダーの中で承認されないと、不安だというのはあるんでしょうね。

UED

自分がやったことに対して、他者からの称賛やフィードバックが喜びになる。「誰かの為になっている」という実感を持てることはモチベーション上、大事ですね。

そういう意味で、メーカーなんかは顧客からのフィードバックを得やすいのでアイデンティティを持ちやすいんですよね。

インタビュー風景

「モノづくりカンパニー」を超えて次のステージへ!

UED

最後に改めて、今後、組織としてどう成熟していくか、という点ではどうお考えでしょうか。

今、会社として人事制度を刷新したり「モノづくりカンパニーになる!」と対外的に発表したりしています。

でもそれは過渡期的なテーマだと思っています。それこそ「海賊王におれがなる」と言っているのと一緒で、自分がこうなると言っているだけで。海賊王になったとして「社会はどうなる」とは全く言っていない。

自分達が変わった結果、社会をどう変えるか、社会をどうしたいか、willの部分が必要になってくると思っています。

早く、「モノづくりカンパニーにもうなったよね」というステージに上がって、モノづくりカンパニーとなった自分たちが、作りたい社会や実現したいことって何なのか、改めて定義をしていくことが、次のmedibaを創り上げる。それが、このOTSも含めて、さらに組織を高めていくための、大事な局面なんじゃないかと思っています。

 

UED

大義という言葉は、手前味噌な話ですが、U’eyes Designでは「アウトカム」といっています。私たちの部署の名前も「デザイニング・アウトカムズ研究所」というのですが、アウトカムをデザインすることの重要性をうたっています。それは、自分たちがこうなる、だけでなく、社会をこうすべきだ、こうすべきと思っているんだ、ということを具体的に定義してほしいということです。OTSの中でも、自分たちがどうなる、ではなく、こういう社会を実現したい人の集団だよね、ということを仲間と共有している方が、レジリエンスも発揮されて、実現に向けて気持ちが強まり、活動も継続されるようになると考えます。

そうですね、我々の存在意義、なぜこの会社にいるのか、こんな社会を作るために存在しているんだ、ということを、モノづくりカンパニーをまず目指して、それを着地させて、次のステップとして、というかクロスしながらそれをやっていかないと、いつまでたっても「海賊王に俺はなる」と言っていても、世界平和は訪れるのか?と。乱世が訪れては意味がないですから。

UED

「モノづくり王」というのも、手段の一つ、通過点の一つということですよね。

そうです。第一段階として、まずは自分たちを変革させよう、その次に社会を変革させよう、という風に、そして社会をどういう風に変革させたいのか、を改めてみんなで考えていく、ものづくりをできるようになった自分たちが次に目指す未来を考えていく、というのが次のステージかな。そこに向かっていくのが、大義だとか、みんなのやる気や好奇心を高めていくことなのかなと思っています。

UED

そうですね。medibaの変革に我々もOTSで関われたら幸いです。本日はありがとうございました!

インタビューを終えて:左から mediba 福田様、岡様、UED高橋、竹中

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