「サービスデザイン」で考える新しいデジタルガバメントサービスのワークショップ
概要
総務省様が運営する総合的な行政情報ポータルサイト「電子政府の総合窓口(e-Gov)」のUX向上に向けたワークショップ活動の支援を行いました。
近年動きがあるデジタル化推進や社会課題解決に向けて、行政のサービス企画では、利用者視点に立ったより良いサービスの実現を目指し、サービスデザインの手法を取り入れてサービスの利用者、関係者で共に創っていく活動を行っておられます。このような活動を進めていく上では、利用者や関係者を参加者とするワークショップの場で創っていくといったやり方が重要になります。
その際、知識も立場も違う様々な方が集まるため、それぞれの立場に共感でき、アイデアや意見を出しやすい場づくりを行えるようなファシリテーションがキーとなります。弊社は、サービスデザインの知見から、ワークショップのプログラム設計、ファシリテーション、ワークショップ結果のビジュアル化を行い、より良い形で共創活動を実現するための支援をいたしました。関係者間で行った共創活動の成果は、新しいデジタルガバメントサービス創出の取り組みに役立てられています。
ポイント
- サービスの利用者や関係者でワークショップの場において共創活動を行う
- サービスデザイン手法を用いて利用者目線でより良いサービスの実現を考える
- 専門家の支援により、ファシリテーションとビジュアル化が上手くできる
活動内容(抜粋)
活動初期は関係者間でチームビルディングを行い、参加者全員で目指すビジョンを共有する
活動初期には、総務省様、開発事業者様、サービスデザイン支援事業者(弊社)の関係者を集め、チームビルディングを兼ねたワークショップの支援をしました。初めは関係者間で持つ知識量やそれぞれの立場で意識が異なる状態のため、ワークショップの中で、新規サービスを創出するために必要な知識の共有、e-Govを取り巻く関係者の洗い出し、目指すビジョンや目標の意識合わせを行えるようなプログラムを構成し、ファシリテーションを行いました。
その結果として、参加者全員でe-Govの利用者・関係者や現状の重点課題を共有でき、行政の専門分野にあたるサービスの理解を深められる場となりました。ワークショップの最後には、参加者がそれぞれ自分の立場から「重要と捉えた課題」と「e-Govの目指すべき方向性」を発表しました。今後の活動に向けてお互いの意識を共有する機会が得られたことにより、初期のチームビルディングの形成に繋がりました。また、挙がった課題について、今後取り組むべきと考える課題の優先度が見えてきました。
ワークショップ活動後、その場で共有した利用者・関係者や挙がった重点課題は、ステークホルダーマップとしてビジュアル化を行い、関係者間でその後の具体的な活動を推進していくための初期情報として活用されています。
利用者、関係者を集め、サービスデザインのツールを用いたワークショップを行う
e-GovサービスのUX向上の取り組みにあたり、関係者間で共有した情報だけでは利用者の実態が把握しきれていない部分がありました。そこで、利用者にあたる社労士や関係者を集め、デザイン思考に基づいたワークショップ活動の支援をしました。
まずは、チームごとに、ワークショップに参加している社労士へのヒアリングをベースに、社労士が行う労働・社会保険の手続き代行業務の実態や、現在のサービスの利用スタイルに至るまでの背景・心理を把握し、想定される利用者の属性を検討した上でメインとなるペルソナを設定しました。続いて、現在のサービス利用に至るまでの体験を知るために、設定したペルソナについて、サービス利用前から利用後までのカスタマージャーニーマップを作成し、e-Govとの接点・利用者の行動・心理を整理した上で、現状の課題抽出とそれら課題に対するアイデア創出を行いました。
このようにサービスデザインのツールを用いたプログラムの設計やファシリテーションの支援をすることにより、立場や知識が異なる参加者が、利用者の視点に立っての課題抽出とアイデア創出を行える場づくりができました。また、サービスの利用時だけでなく、利用前後を含めた体験全体を把握することにより、今まで着目していなかった観点からの課題が見えてきました。
ワークショップで作成したペルソナやカスタマージャーニーマップ、抽出した課題やアイデアについては、その後も参加者間での共有や活用ができるようにビジュアル化を行い、新しいe-Govサービスの創出活動に役立てられています。
- クライアント名
- 総務省 行政管理局
- メンバー
- 梶川忠彦、森瑞穂、植田美和子、清田実芳、中塚啓史、薄葉聡
- タグ
- プロジェクト