「新しい市場のつくりかた」著者の三宅秀道先生にお会いしてきました!
こんにちは、デザイニング・アウトカムズ研究所の田平です。
今回は、イノベーションがいかに身近な現象なのかが分かる本をご紹介します。専修大学経営学部の三宅秀道先生が書かれた「新しい市場のつくりかた」です。
本のご紹介
2012年に第1刷が発行された本で、既に読まれている方も多いかと思いますが、今回、三宅先生と意見交換させて頂く機会もありましたので、ご紹介したいと思います。
この本の凄いところは、中小・ベンチャー企業の製品開発事例を、地道に15年間1000社近くを調べ上げたところから、「新しい市場のつくりかた」を体系的に分かりやすくまとめている点です。
また、「技術や資金がなくても、知恵があればイノベーションを起せる」という勇気をもらえる本です。特に興味深かったのは、磯部商店(現:フットマーク株式会社)のゴム製の学童用水泳帽のお話。皆さんも学校のプール教育で、この水泳帽で被っていた記憶があるのでは?
この水泳帽、どうやって全国の学校教育に普及したかというと、モノである水泳帽だけでなく、プール教育の指導カリキュラムとセットで販売したところに成功のポイントがあります。プール教育が始まったばかりの頃、子供たちは水泳帽なしで泳いでいました。当時、水泳帽を被らないで泳ぐことは、子供たちにとっても、指導する教師にとっても、何の不都合もなかったとのことです。
そんな状況の中で、水泳帽を買ってもらい、被ってもらうのは至難の業です。そこで、磯部商店は考えました。この水泳帽の活用法として、クラス別や能力差で色を変えたり、名前やマークを書き込んだりすることで、プールサイドからの指導を容易にし、教育をより充実させるカリキュラムを作成した上で、それと一緒に売ったのです。
その結果、学童用水泳帽は全国の小中学校で、今日では当たり前のものになりました。
この本の全編の事例を通じて読み取れることは、新しい市場をつくることは、新しい文化、生活習慣をつくることであり、必ずしも企業が技術競争や品質競争、価格競争で勝ち抜くことではないということです。
そして、これまでの市場にない商品を生み出すには、すぐそこにある問題の「発見」ではなく、現状、認識されていない問題の「発明」が、何よりも重要であると、三宅先生は述べています。
意見交換では・・・
先日、著者の三宅先生とお会いする機会がありました!
当社のイノベーション創出に向けたデザインコンサルティングの取組について、貴重なアドバイスを頂きました。
さすが、地道に日本中の企業をフィールドワークされているだけあって、先生のお話には深いものがあります。特に、地方の職人と都会のビジネスマンとの断絶のお話や、この多様化の時代でありながら、若者は同質化の方向に進んでいるのではないか、というお話は大変興味深いものでした。
授業や執筆活動でお忙しい中、大変貴重な時間を有難うございました!
本にサインいただきました!